腰痛は大腿筋膜張筋を緩める!

皆さん大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)ってご存じですか?

私は鍼灸学校に入学する前は聞いたこともなかったです。

この大腿筋膜張筋はマイナーなくせして、実は腰痛や坐骨神経痛の引き金にもなるキー・パーソンならぬキー・マッスル?なんです。

場所は大腿骨の出っ張り(大転子)の斜め上(前上方)にあり、骨盤の前の出っ張り(上前腸骨棘)の周辺にくっついてます。
画像で見るとこの辺りです。


働きとしては、股関節の屈曲させることがメインです。

股関節の屈曲とは、大腿骨が固定された状態では、骨盤を前に倒す働きとなります。
よって大腿筋膜張筋が収縮すると、骨盤が前傾します。
いわゆる「反り腰」の原因となります。

腰痛にせよ坐骨神経痛にせよ、まずガチガチになった大腿筋膜張筋を放置して、骨盤の前傾を改善しないまま、いきなり腰やお尻の筋肉に鍼を打っても、ダメなんです。

また大腿筋膜張筋がピンと張って硬いと、骨盤の両側面を中心に向かって押さえつけるような形になり、他のお尻(大殿筋、中殿筋、小殿筋等)の筋肉を脱力を妨げてしまいます。

だから大腿筋膜張筋を緩ませないままに、お尻の筋肉を治療しても、効果が今一なんです。
(「反り腰」じゃなくて「受け腰」「骨盤後傾」の方のガチガチのお尻を緩める為にも、大腿筋膜張筋は大切なんです。)

ですので、当院では腰痛、坐骨神経痛などの患者さんの腰やお尻にいきなり施術することは少ないです。

まず大腿筋膜張筋を緩める鍼や筋膜リリースを行います。
(筋膜リリースより鍼の方が早く緩みます。)

とにかく大腿筋膜張筋は治療の要だぜ!ということです。


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☆おまけ 大腿筋膜張筋の詳しいデータを少々。
「大腿筋膜張筋(Tensor fasciae latae)
起始 腸骨稜の外唇の前方部分、腸骨の前縁
停止 腸脛靭帯に沿って大腿の中部1/3
機能 腸脛靭帯に対する大殿筋の後方牽引作用に対抗して、大腿筋膜を緊張させる。  
   股関節の屈曲。外転。内旋の補助。
神経 上殿神経」
(出典:ジョン H.ウォーフィル『図説 筋の機能解剖』第4版 医学書院 1993年)