良く動き、温かく、柔らかく、しなやかなに

先日、私の身内で不幸がありました。
94歳の祖母が亡くなりました。
以前から入院しており、医師からは覚悟をしておくように告げられていました。
「そろそろ、危ないかもしれない。」と病院から連絡をいただき、家族で駆けつけました。
あえぎながらも呼吸があり、体も温かく感じました。
危険な状況ながらもまだ多少は安定しているように感じられたので、支度を整える為に一旦帰宅しました。
今まで一度も、鍼をしたことがなかったので、亡くなる前に接触するだけの鍼をしてあげようと思い、
鍼道具も持っていく予定でした。
長く老人ホームや病院にいたので、祖母も私が鍼灸師をしていることを知らないでしょうし、今の仕事を見せたかったのです。
しかしながら、帰宅している間に、亡くなってしまいました。
再度、駆けつけた時は、既に呼吸も心拍も止まっていましたが、温かい状態でした。
それが徐々に冷たくなっていきました。
看護師さんや家族がいない間に、鍼は使わず素手で、少しだけ頭と肩に鍼をする真似をしました。
肩には服の上から散鍼という手技の真似事をやりましたが、徐々に硬くなっていくのが分かりました。
動かなくなって、冷たくなって、硬くなる。
亡くなるとはこういう事かと手の感触で理解しました。
逆に生きているとは、良く動き、温かく、柔らかくしなやかであることなんだと感じました。
中国医学では、死ぬということは、人体を動かしていた気が外に散逸してまうことであり、死後の世界は想定されていません。
私自身が消えてなくなることを想像しただけでも、怖くて怖くてたまりませんが、その日まで自分の人生どう生きるか、改めて考える機会を、亡くなった祖母に与えてもらいました。

若林鍼灸院HP(大阪府豊中市)