家庭でのお灸

近年、インターネットや女性向けの雑誌などで、症状別のツボ(経穴)が良く紹介されています。
従来はツボをご自身で指圧される方が多かったのですが、最近では「せんねん灸」などの手軽なお灸の普及で、家庭でお灸にトライされる方が増えているようです。
当院に通っておられる方でも、ご家庭でお灸をされている方が数人いらっしゃいます。
今日は、ご家庭でお灸をされる場合に気を付けられたポイントを何点かご紹介します。
☆まず、ツボの取り方。インターネットや本に載っている場所はあくまでも目安です。
その指示されている位置の周辺で、凹んでいたり、皮膚の色が違ったり、温度や湿り方が違ったりと、周囲と何か差異がある場所がツボである可能性が高いです。
よく探ってみてください。
漫然とお灸をするよりも、効果が高いはず。
☆ツボの選択方法
理想を言えば、鍼灸師に体質や症状に応じたツボを教えてもらうのが一番です。
それが難しければ、ネットや本で紹介されているツボを欲張り過ぎずに、まずは1種類のツボからスタートしてください。経過や体調をみながら、適宜ツボの数を増やしたり、変更してみてください。
最初から欲張ると、刺激量が多かったり、どのツボが効いているのか分からなくなりますので。
☆お灸の刺激量
市販のお灸でも、刺激が強いものが多いようです。
我慢は禁物です。
「少し物足りないかな?」と思う程度で十分です。
ソフトな刺激でも、体はちゃんと反応します。
あまり頑張りすぎると、「灸あたり」といって「湯あたり」のように気分が悪くなってしまいます。
1箇所に対する、お灸の回数は、奇数(1、3、5、7・・・)が基本です。
灸は陽気を補う目的がありますので、陽の数、つまり奇数を基本とします。
おまじない感覚で試してみてください。
☆ペアで行う。
足三里や三陰交など、足のツボは、一人でも簡単にお灸ができますが、背部や腕、お腹のツボはご家族やパートナーにやってもらった方が安全です。
お灸で家族のコミュニケーションが増せば、素敵ですね。
深刻に眉間にシワを寄せながら据えるよりも、楽しくやりたいものです。
☆火の元、ヤケドに注意。
必ず水を張った大きめの灰皿を手元に用意してください。
また市販の円筒状や台座付のお灸を使う場合は、ピンセットや小さなツカミのような物を用意した上で行って下さい。
製品によっては、筒や台座が高熱になり、素手で取り外す際に指を火傷する可能性があります。
くどいようですが、市販の既製品のお灸でも、刺激が強いものもあり、わずか1回だけでも、水ぶくれや火傷になることがあります。
昔ながらに散もぐさを使う場合は、慣れるまでは捻り方が難しいので、最期まで焼き切るのではなく、少しでも熱さを感じた時点で、消火してください。失敗すると火傷の跡が消えなくなります。
美容に気を遣う方は、どのようなお灸であれ、まず目立たない部位で試されるといいでしょう。
極度に体力が落ちた方、糖尿病や知覚麻痺や鈍麻がある方へのお灸はヤケドを起こしやすいので危険です。
お灸をして少しでも体調や皮膚に異常が出たら、速やかに中止してください。
あくまでも細心の注意を払い、自己責任で行ってください。

お灸は現代でこそ、一般には疎遠なものになりましたが、江戸期から昭和初期頃まで広く民間でも行われていました。
特に松尾芭蕉『奥の細道』にも出てくる、足三里へのお灸は、健脚や長寿の灸として昔からポピュラーだったようですね。故本間祥白先生(鍼灸師)の著書でも、終戦直後、ボロ切れを艾替りに使い、足三里を焼きながら、中国大陸から引き揚げた日本兵のエピソードが紹介されていました。
昔に行われていた、大きな灸跡が残るような強い刺激のお灸は現代人には、オススメしませんが、ソフトなお灸ならば、試してみる価値がありそうですね。
鍼灸院を経営する立場から言えば、家庭でお灸をせずに鍼灸院に来て、お灸を受けほしいですが・・・(笑)
☆追記☆
家庭でお灸する際に不明な点があれば、当院へご相談ください。
空き時間に1000円でお教えします。(一般の方限定)
電話で予約の上、日頃ご使用のお灸道具を持って、お越しください。
※健康増進が目的の方に限ります。
医師の診察を受けていない方、重篤な症状の場合、本格的な治療が必要な方は、お断りします。
大阪府豊中市の伝統鍼灸専門・若林鍼灸院HPへ

家庭でのお灸」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    なんかプロっぽいお灸講座で感心いたしました☆
    首のコリが慢性化しつつあるので、次回帰郷時には
    ひとつお灸をすえてもらおうかと思っとります。
    ヤケドしたら、おー灸処置。

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ガクッ・・・・。
    素晴らしい?締めですね。
    私、一応、プロですから(笑)

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