鍼灸の医療事故のニュースについて

本日の日本経済新聞の朝刊に「はり治療後に女性死亡」の見出しで大きな記事が出ていました。
記事について、患者様からご質問があったので、ブログでも紹介いたします。
記事の概要としては、昨年12月に肩こりの治療で鍼灸院に通院されていた女性患者さんが、治療直後に気分が悪くなり、救急車で病院に搬送され翌日にお亡くなりになった、という内容でした。
この不幸な事故の記事に接して、私自身も大変なショックを受けました。
本当にお気の毒であり、お亡くなりなった方のご冥福を心よりお祈りいたします。
お亡くなりになった原因は、まだ明らかではないのですが、おそらく肺気胸によるものであろうと記事に出ていました。
鍼灸師の誰しもが、胸はもちろん肩や背中はすぐ下に胸膜がある為、深く刺して胸膜を傷つけると、外傷性気胸を起こすことは承知しています。よって胸部や肩背部の施術には、細心の注意を払って、深さや角度を考慮して鍼をしており、死亡に至る重大事故はほとんどありません。

当院では胸に鍼を刺すことは稀です。(肩甲下筋刺鍼などは胸側から打ちますが、胸郭の位置を考慮し、確実に胸郭内に鍼が入らない部位から鍼をします。)
肩や背中に鍼を刺す場合は、体質や体形を考慮しながら、角度を斜めに刺入したり、しっかりと椎骨に鍼先を当てて刺入し、肺を刺さないように施術しております。
いくら安全な方法を採用しているからといって慢心はいけませんので、気を引き締めて施術にあたりたいと考えます。
私も含め鍼灸師は、髪の毛よりも細い鍼ですら、使い方によっては凶器にもなりうることを肝に銘じなければなりません。
また日経新聞では、事故を起こした鍼灸院が鍼灸師会等の業界団体に未加入だった為、医療事故と業界団体への加入率の少なさを関係付けていましたが、この問題との因果関係はないと考えます。
通院中の患者様で、この事に限らず御質問がありましたら、いつでも遠慮無くお尋ねくださいね。
これから鍼灸を受けられる方で、治療に関して何か不安な点があれば、お近くの鍼灸院へ気軽にお問い合せください。
若林鍼灸院