事業仕分・漢方薬を保険適応除外へ

先日来、行われていた事業仕分が終了しました。
各項目で賛否両論が巻き起こっています。
その中で、私どもに一番関係のある事としては、漢方薬の保険適応の可否についてです。
これも難しい問題ですね。
よく患者さんも問診の中で「内科で○×番と●■番の漢方を貰ってます。」などとおっしゃるを良く聞きます。
本来、漢方は鍼灸と同様に、詳細な問診や視診、触診などの東洋医学的な見立てに基づいて出されるもので、症状で判断して風邪症状だから「1番(葛根湯)」などと言ったように単純にいかないものです。
必ず注意書きには「本剤の使用にあたっては、患者の体質・症状)を考慮して投与すること。」と記載がありますが、証を立てることができる漢方に精通した医師が少ないと聞きます。
現状は、症状別に安易に処方されていることも多いようです。
下手な鉄砲数打ちゃ・・・的な処方では、せっかく使っても効果も薄いでしょうし、効果の検証もなしになしにダラダラと処方するようでは、医療費の浪費や貴重な生薬の原料の無駄遣いと言われても仕方ありません。
患者サイドも、漢方薬にある副作用の少ない安全なイメージや東洋医学への幻想?から、現代の薬よりも簡単に受け入れられているようです。
そもそも、現代医学とは別大系のものを、保険診療に簡単に組み込むこと自体に問題があると私は考えます。
また、保険適応を乱発しすぎると、証に応じた漢方薬を提供してくれる、自費でお商売をされている漢方薬局さんの営業をより圧迫してしまうので、医療費抑制以外の観点でもある程度の歯止めが必要かもしれません。
しかしながら、勉強熱心なお医者様でキチンと処方される方もいらっしゃいますし、今現在、保険適応の漢方薬で投薬治療を受けておられ、効果が上がっている方もいらっしゃるので、一律廃止は性急すぎるのではないでしょうか。
仕分けチームは、「廃止」の結論を出したそうですが、現在治療途中の患者さんの保険適応は当面存続することと、新たに処方する際はルールを厳格化する(例えば試験に合格した専門医のみが保険適応で処方できる。現在の東洋医学専門医を厳格化。)などの条件付きで存続するべきと個人的には思います。
医師でもない湯液の専門家でない鍼灸師風情が偉そうに・・・と思われるかもしれませんが、お許しを。
大阪府豊中市・阪急豊中駅前の若林鍼灸院HP