当院のアイテム・少し臭い「紫雲膏」

今日はお灸の話。

若林鍼灸院では、患者さんが熱く感じたら、中止するお灸「知熱灸」と、
モグサを小さく成形し、ツボに置き、直接焼き切る、昔ながらのお灸「透熱灸
の2種類を行っています。

後者の「透熱灸」は確かに熱いのですが、モグサ(艾炷)の大きさが直径1mm~1.5mm程度と小さく、火傷の心配はまずありませんので、ご安心ください。

さて、肩や膝周辺などの曲面にお灸を据える場合、そのままモグサを皮膚上に置くと、空調の風や患者さんが体を動かすことにより、火のついたモグサが落下する危険性があります。

そこで我々・鍼灸師は、お灸をする皮膚を消毒液や水で湿らせたり、「灸点墨」という粘り気のある墨やボディクリームなどの油脂や糊などを使い、モグサを皮膚表面に固定します。もしくは大きなモグサならば、ピンセットで固定しながら、お灸をします。(市販のお灸を使う場合は、あらかじめ糊が付いているので、何もいらないのですが・・・)。
当院では、「紫雲膏」という漢方薬の軟膏を使って、皮膚表面に貼り付けています。
ツムラ紫雲膏

下の成分表を見てもらえば分るように、油脂に生薬が配合された軟膏です。
因みに有名な江戸後期の医師・華岡青洲が考案した薬です。紫雲膏成分
「紫雲膏」は、火傷にも効能があり、お灸の固定用には最適なのですが、ただ難点は、独特のニオイがすることかな・・・。

昔の高齢の鍼灸師にはツバでお灸を固定する者もおりましたが、今の時代、そんな鍼灸師はたぶん?おりませんので、ご安心ください(笑)

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来月は鍼灸史学会

来月11月17日(土)と18日(日)は、毎年参加している日本鍼灸史学会です。

今年は『鍼灸資生経』と『鍼灸甲乙経』という鍼灸の専門書についての発表をさせてもらいます。
今回は初日の3番目に発表しますので、終り次第、他の方の発表を落ち着いて聞けそうなので、楽しみです。
ただ例年のことながらまだまだ準備不足で、ラストスパートが必要なようです・・・(怠けていた自分が悪いのですが・・・)。

もしこのブログをご覧の方で、鍼灸の古典文献に興味がある方がいらっしゃいましたら、鍼灸史学会へお越し下さい。
私の発表は別としまして、他に素晴らしい先生方の口演もありますので、是非とも。
東京大学教授・池澤優先生による特別講演「天と地と鬼神―中国古代における死者の霊魂の二元性」もあります。
会場は二日とも、京都アスニー(京都市中京区)です。

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効果が分からないのですけど・・・

鍼灸の場合も、西洋医学の場合も、一般的に発症から日が浅いものの方が、治りやすく、慢性化したものは改善に日数がかかるものです。
それに堪えきれずに、病院や鍼灸院を渉り歩かれている方をとても多くお見受けします。(それは、もちろん治療家サイドの責任もあるのですが・・)

慢性でも五十肩や腰痛などは、施術後に多少なりとも痛みが軽減したり、関節がスムーズに動いたり、効果がすぐに見えやすいので、患者さんが治療へのモチベーションを維持しやすいように思えます。

しかし慢性の皮膚、内臓、神経系の病気、心の病などは、短期間では効果を実感しにくく、治療へのモチベーションを保つのが困難です。
たとえ辛い症状が軽減されてなくても、治療の継続により、
睡眠の質が改善したり、お食事がおいしくなったり、便通が整ったり、お小水の出が良くなったり、夜中のトイレの回数が減ったり、顔色が良くなったり、呼吸が楽になったり、知り合いから「最近、元気そうね!」と言われたり、気持ちが前向きになったり、肩こりがしなっくなったり、女性なら生理周期が整ったりと・・・etc
と確実に変化しているはずです。

これらの小さな変化を積み重ねる中で、ふと気付いてみると辛い症状が改善されているはずです。

せっかく貴重な時間を割いて高い治療を受けているのですから、辛い症状以外の身体の変化にも探ってみてください。きっと良い兆しに気づかれることでしょう。

モチベーションアップの為にも、患者さんに治療の中でお伝えすればよいのですが、余計なお喋りをし過ぎて、ついつい疎かになってまってますので、ブログに書いてみました(笑)

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三周年

5月27日で当院は三周年を迎えることができました。
大阪では、「忙しい?」「ボチボチやな。」というのが、定番の返答です。(ほんまかいな?!)
1年目は、ボチボチの「ボ」も言えない状態。
2年目は、ボチボチの「ボ」が言える状態。
3年目は、ボチボチの「ボチ」が言える状態までになりました。
広告宣伝もせず、自ら売り込むことしていないのに、少しずつですが患者さんが増えてきています。
怠惰な院長に成り代わり、お知り合いに当院をご紹介くださっている患者さん達のお陰です。
(もちろん自作の拙いHPを見いただき、来院させた方もいらっしゃいます。)
本当に感謝しております。
ありがとうございます。
よりよい治療を提供できるように、4年目も頑張ります。
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もぐさのメンテ

お灸に使う艾(もぐさ)の話です。
艾が湿気を帯びて硬くなってきたので、メンテナンスを行いました。
艾は柔らかくて成形しやすく、燃焼時間の短いものが理想なので・・・。

本来は天日干しがベストですが、駅前にある当院は日当たりがあまり良くありません。
さらに周辺に進学塾がたくさんあり、小学生だらけ。
干している艾にイタズラをされそうですので、仕方なく部屋干し。
ここからは決してお勧めできない裏技です。(きっとベテランの鍼灸師や艾屋さんから怒られます。)
先ずは電子レンジでチン(時間は30秒以内。長時間加熱するとと発火して大変危険!ご注意を!!
チンした艾を、拡げて蒸気を飛ばします。
後は、エアコンの温風にしばらく晒して乾燥(写真は待合室で温風に当ててるところ)。
業者さんの話では、艾は乾燥しすぎも良くないそうで、湿度10%代が理想だとか。
(だから乾燥剤と一緒に保管するのはNG。鍼灸学校時代にお灸の先生から怒られました。)
くどいようですが、天日干しがベストです。
この室内で乾かした艾は、「知熱灸」というお灸に使用します。
「知熱灸」とは、患者さんが熱さを感じたら取り外す灸法のことです。
小さく艾を捻り、最後まで焼ききるお灸を「透熱灸」と呼びます。
「透熱灸」に使うものは、100g10000円程する高価なものですので、レンジでチン!なんていう乱暴なことはしません(笑)
今回メンテをした艾は、紙箱で保管。
10000円の高級な方は、桐箱で保管しています(笑)
(和紙で包んでから箱に入れるのがベストです。)
この差は何!?
バレンタインのチョコの数に差があるように、この世の中は決して平等ではありません(笑)
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追記)いつも勉強会でお世話になっている先生のHPに、艾の天日干しの記事があります。
吉岡鍼灸院ホームページ(神奈川県横浜市)
吉岡鍼灸院HP「閑話・もぐさの天日干し」
この記事を読めば、なぜ艾を電子レンジの電磁波?!ではなくお日様に当てる必要があるのかが理解できます。
他にもお灸に関する興味深いお話が・・・。
吉岡鍼灸院HP「鍼灸の話・古き良きもぐさ“熟艾”」
吉岡鍼灸院HP「鍼灸の話・お灸をすえる回数の話」
是非ご覧ください。